開高健のクアンナム訛り?

 17日付『朝日新聞』に、開高健ベトナムで身に着けていた日本国旗の写真が掲載されていた。
 ベトナム語で「私は日本の記者です どうかご協力ください」と記されている。
 その「日本」のベトナム語が「NHỰT BỔN」だった。


 そういえば今までもときどき、年配の方を中心に「NHỰT BỔN」と言う方にチラホラ会っていたので、なぜ日本の呼び方がベトナム語には2種類あるのかベトナム人に聞いてみた(ハノイ出身、二十代、女性)。すると
「ああ、これはクアンナム訛りですよ。クアンナムの人はトイ ディ セーダップ(私は自転車で行きます)をトゥイ デュ スュードゥップと言いますからね」
と言う。それに対し、横でもう一人のベトナム人(やはりハノイ出身、二十代、女性)が
「違うわよ。これ日本人でしょ。間違って書いたのよ」
と言った。


 開高健ベトナム戦争を取材したのはどのあたりか、著書が手元にないのでよくわからないのだが、当時の前線は、17度線に近いこのクアンナムのあたりにあった時もあるだろう。クアンナム訛りという説にはそういうリアリティがあるが、ほんとかな?
 日本人だから間違って書いた、というのはあたらない。ベトナム人でそう言ったり書いたりしてる人を見てきたからだ。しかし若い層はもう、そういう呼び方があることすら知らないんだな、ということはわかった。


 開高健ベトナムは遠くなりにけり。ダナンにてベトナムの平和をかみしめる夜であった。


http://mytown.asahi.com/tama/news.php?k_id=14000001001180003
(ネット版には写真はない)