『バンコク週報』の体制ベッタリぶりが気持ち悪い

 最近、タイの報道を『バンコク週報』のネット版で目にすることが増えました。
 しかし読むたびに、言葉の選び方がかなり、タイの現体制寄りなのが鼻についていました。


 たとえば元日のこの記事を例に挙げてみます。
 言葉の選び方が恣意的だな〜、と感じるところに下線を引いています。

「恩赦は論外」首相が再確認
 タクシン派から政府にタクシン元首相との交渉を求める声が強まっていることについて、アピシット首相は1月1日、政府庁舎で記者団に対し、「特定個人の利益を国益に優先させるような交渉は一切行わない」と明言し、理不尽な要求には応じないとの政府の方針を再確認した。

 関係筋によれば、カンボジアのフン・セン首相が最近、タクシン派結託してアピシット政権への挑発的姿勢鮮明にしているが、これは「決戦」に向けた環境作りと考えられるという。その一方で、タクシン派は、「タクシン元首相との交渉が唯一の騒乱回避策」などとして、政府に元首相の要求をのませようとしているとのことだ

 だが、アピシット首相は、「国や国民に危害を与えると脅して、要求を通そうとするやり方は認められない。暴力的手段は社会が受け入れない。暴力で目標を達成することはできない」と明言。さらに、「暴力に訴える者には、法に基づいて対処する」と述べて、法を犯した者に法を厳格に適用するとの政府の方針を改めて確認した。

 なお、ステープ副首相(治安担当)によれば、タクシン派は1月末から2月初めにかけ、アピシット政権を退陣に追い込むべく、昨年4月の首都騒乱同様、過激な反政府行動国内を混乱に陥れることを企てているという。(2010年1月1日)

http://www.bangkokshuho.com/news.aspx?articleid=9202


 私がカンボジアに家族を持つことを割り引いて考えても、客観的に、これはどうかと感じられると思うんですが、どうでしょうか?
 「関係筋」〜「とのことだ」に下線を引いた理由は、『バンコク週報』の記事では、記者の意見を「関係筋」とか「という声もある」という形で仮託することがあまりに多いように感じられるからです。誰なんだと。
 最後の段落で「なお」〜とか言って記者の言いたいこと言い放題ってのもよくある手ですが、『バンコク週報』ではそれがちょっと露骨すぎて失敗してる感があります。


 『バンコク週報』は30周年とのことなので、タクシン政権時代にも発行していたと思うんですが、当時も、このようにタクシン政権に対し批判的だったのでしょうか?
 それとも、当時はタクシン政権に対しこのように迎合的だったのでしょうか?

バンコク週報』を公平中立に書き直してみた。

(原文の単語や段落構成は極力温存する方向で…)


「元首相、恩赦は論外」首相が再確認
 アピシット首相は1日、政府庁舎で記者会見を開き、この中で、タクシン元首相との話し合いを求める声が野党各党から政府に対し強まっていることについて、「特定個人の利益を国益に優先させるような交渉は一切行わない」と述べた。「理不尽な要求には応じない」としたさきの政府方針を再確認した形だ。

 同元首相はこの数週間、カンボジアのフン・セン首相とも結んでアピシット政権への対抗姿勢を強く打ち出しているが、これは来たる「決戦」(政権関係筋)に向けた環境作りとも見られる一方で、「元首相との交渉が唯一の混乱回避策」として発言力を高めようとしている公算が強い。

 こうしたなかアピシット首相は「国や国民に危害を与えると脅して、要求を通そうとするやり方は認められない。暴力的手段は社会が受け入れない。暴力で目標を達成することはできない」と述べるとともに、「暴力に訴える者には、法に基づいて対処する」として、「法を犯した者に法を厳格に適用する」としたさきの政府方針を改めて強調した。

 また、同政権の治安担当も務めるステープ副首相は「タクシン派は1月末から2月初めにかけ、アピシット政権を退陣に追い込むべく、昨年4月の首都騒乱同様、過激な反政府行動で国内を混乱に陥れることを企てている」と語った。(2010年1月1日)