hu tieu Nam vangは南蛮麺じゃないだろ
『ベトナムスケッチ』10月号157ページにフーティウについての記事があった。
いくつかあるフーティウの種類の中に、「フーティウナムヴァン/Hu Tieu Nam Van」(Nam Van=南蛮→南蛮風フーティウ)があります。ベトナムから見た南蛮とは、現在のカンボジア。
外国人である筆者(ベトナム料理研究家・伊藤忍さんという方)が、あえて間違った解釈を創作するはずもないから、たぶん真相は、ベトナム人の間に、こう信じている人が少なからずいるということだろう。筆者はたまたま、そういうベトナム人の話を聞いたか、著作を読んだに違いない。
と思ったが、
http://tratu.vn/dict/jp_vn/%E5%8D%97%E8%9B%AE
によれば「南蛮」のベトナム語読みは「Nam Man」だ。なので、ベトナム人に上記のような勘違いが発生するはずはない。伊藤忍さんはいったい全体どこから、このような誤った語源説を作ったのだろう。
本当は「Hi Tieu Nam Vang」(Nam Vang=南旺→プノンペン風フーティウ)だ。
ベトナム人はプノンペンを「Nam Vang」と呼ぶ。プノンペンはいま漢字では「金辺」と書かれるが、かつては南中国の音訳で「南旺」と書かれており、日本も戦前はこの表記を採用していた。
Nam vangも「南旺」のベトナム語読みである(ナムヴァン、南部の発音でナムヤーン)。
私は「南旺」は、南の明るい地、という意味も持った、プノンペンのイメージにぴったりな秀逸な当て字だとおもう。
つぎ何かプノンペンで事業を起こすときは、ぜひ「南旺」を社名に冠したいと考えている。