南ベトナムでABBA

行ってない国を語らない - 南旺理工

 ベトナム人は民族的センスがタイ人とかとは違うのかもしれず、だとすると百年待ってもタイポップスのような洗練された(西洋や日本の価値観で)音楽は出てこないのか、と書いたけれど…。

Nhạc Trẻ Việt Nam, thập niên 60-70. Part 1 - YouTube

 南ベトナムの音楽を聴いたら、全然そんなことはなかった。


 完全に世界にピッタリついていってる。と同時に、ベトナムエスニックなエッセンスもしっかり織り込まれている。
 このころこの調子だったなら、今ごろは現代性・独自性とも、タイポップスなんかメじゃなかったかもしれないと感じさせる。


 このビデオの6分あたりで出てくるABBAのカバーなんて、オリジナルよりモダンにすら聴こえる。むしろ映画『マンマ・ミーア!』におけるrenditionに近い。オリジナルは現代の感覚ではちょっと眠く感じる…。


 ABBAが活躍したころまだ南ベトナムはあったということが、僕的には驚きだった。
 調べたらABBAのデビューは1974年だったんですね。サイゴン陥落のほんと直前までがんばってたんだなぁ、南ベトナムのポップスシーン。そりゃ北から見りゃたしかに頽廃とも映るかもしれんだわ。
 コメントにもあるけど、この歌手たちは「ザイフォン」後どうしてるんでしょう…。カンボジアみたいに皆殺しってことはないだろうから、どこかでそれぞれ生きているんでしょうけど…。


 カンボジアではものすごくこの時代(1960〜70年代前半)の歌に対する再評価の動きがあるけれど(というか、人材枯渇して、そのころの歌を超える歌い手や歌を作れる人がまったく出てこないので…)、ベトナムではそういう動きは
 ぜんっぜん! まったく! 間違っても! かけらすら!
ないみたいですね…。まったく耳にしません。
 聴こえるのはソ連風のダッサイポップスだけ。または、タイポップスの三回アナログコピーしました的オレオレポップスだけ。カンボジアのほうがまだタイを丸パクりしてる分聴けるwww
 安心して聴けるのは民歌だけ。


 まあもしかすると、北と南でセンスが違うのかもしれないけれど…。