これからの自民

 石破氏が決意のほどを記しています。
ご無沙汰いたしました: 石破茂(いしばしげる)ブログ


 思いのほか痛みに弱かった日本人がダダをこねだしたことから、自民党の政策もとくに参院選後は民主党と区別のつかないものがかなり混じりだしていましたが、それでも多くの施策はさすが政権能力党と思わせるに足るものでした。


「この痛みを今すぐ消してくれ。痛みの原因はおまえが考えろ」
「なんか、もしかして将来痛みがあるんじゃないかと不安だ。責任取れ」
「オレは日本人なんだから他国人より高い給料をもらう権利がある」
「日本企業は儲けをすべて日本での雇用に回すべき」
「オレは日本人というだけで他国人よりすごいはずだ」
「給料払いたくなるようなイノベーション能力なんてオレにはないけど」
「でもそれは国がそういう教育をしてくれないのが悪い」
「英語ができないのも国のせい」
「世界不況が自分に痛みを与えるのも国のせい」
「他の生き方を教えてくれなかった国が悪い」
「だから国は責任を取って、オレが死ぬまでは産業構造を変えないべき」
「世界がどう激動しようと、流通や技術の革新で不要な職種ができようと知ったことか」
「国は、孫や子がどうなろうが、オレたちの旧来の雇用を守るべき」
「以上の要求が今すぐ果たされないなら死んでやる!」
という声に応えられなかった自民党


「オレが死ぬまでは世の中なんか変えないでくれ」
アメリカの改革なんか見習わなくていいじゃないか」
「日本はこれまでうまくやってきたじゃないか」
「シナ人が日本人に追いつけるわけなどないじゃないか」
と叫びつづけ、
民主党ならきっとこの保守的な気持ちに応えてくれるだろう」
と考えた日本人。あるいは、
「言うこと聞いてくれないなら家に火を点けちゃうぞ!」
という韓国人的な女々しい精神で民主党に票を投じたのでしょうか。


 これからの数年は、自民党が膿を切り落として真の革新愛国政党として新生する良い機会であることはもちろんです。
 しかしそれによって将来自民党やその後継党が政権に返り咲く機会があったとして、今後数年間の決定的な政治的・経済的な世界激動の時期を無為ないし保守的に過ごしてしまった日本を立て直すことは、もはや絶望的難事になっているでしょう。
 大してどうでもよかった時期の韓国でさえ、ノ・ムヒョンの喜劇的政治のあとではイ・ミョンバクほどの日本的実務家ですらどんなに苦労させられているかを見れば、わが多難は推して知るべしと言わざるをえません。しかも日本には、経済垂直構造の中で親身に守ってくれる日本はなく、圧倒的な情報インフラのもとで「ものづくり」はコモディティに成り下がると見る米国との情報重心の覇権を賭けた、太平洋戦争の再来をも思わせる絶望的な戦いがあるだけなのです。
 その意味ではこの数年は、日本人が自らを三省して新生する良い機会にもなっていくとおもいます。「自民党に教訓を与える」などというトウショウヘイか! みたいな動機で軽率な投票行動に出ることの持つ恐ろしい意味も、痛いほど思い知らされるでしょう。日本国の失われた百年、という高すぎる代償を支払って…。
 事ここに至れば、僕は倭僑となって、日本の外で日本人の栄える場所を作ります。