ベトナム系カンボジア人の多くが群集に阻まれ投票を断念

カンダール州のベトナム系男性Liv Yang Binさん(66)は、過去4回あったカンボジア国政選挙のすべてにおいて選挙権を有し、投票を行なってきましたが、昨日日曜の第五回国政選挙では、投票所に集まった群集約500人によって投票所から追い返され、投票ができなかったことを明らかにしました。
群集は反ベトナムシュプレヒコールを叫び、Binさんを投票所から追い返したということです。
Binさんは諦めずに3回投票所を訪れましたが、ついに投票は叶わなかったということです。
Binさんによると、Binさんの住む地区には、先祖代々この地で漁業を営んでいるベトナム系の家族が50世帯あり、そのうち15人が選挙権を有していますが、昨日はそのうち10人が、同様に投票所から追い返されたということです。
残り5人は、シュプレヒコールの中、それに耐えて投票所へ入ることができ、投票を成し遂げたということです。
「私たちはカンボジア人です。私たちの多くはここに3代前から住んでいます。私はIDカードも持っているし、選挙人名簿に私の名前もあります。私は国民です。なのになぜ投票ができないのでしょうか」とBinさんは話しました。
野党救国党は、選挙活動中「ユオンを追い出せ」との主張を繰り返し叫び、支持者たちは「ユオンを斬れ」と叫んで街を走り回りました。
クメール ルージュ政権崩壊以来、与党人民党が進めてきた国民和解の政策が、ここへ来て大きな危機に瀕しているといえそうです。
ベトナムカンボジア人の多くは、反ベトナム人政策を明確に掲げるサーム=レアンシー氏を恐れ、与党人民党を支持しているといわれます。今回の投票で救国党支持者の脅迫と暴力により失われた人民党票は、相当数にのぼる可能性が出てきました。
投票を成し遂げた一人であるベトナム系女性Veal Leさん(38)は、5歳の時からこの村に住んでいると話し、「投票に行ったら、猛った群集が私をつかんで追い出しました。朝8時にもう一度行ったら、警察がいて、私を助けてくれました。警察は人々に、私がIDカードを持っていると話し、私に付き添って中まで導いてくれました。私は震えていました」と恐怖を語りました。

http://www.cambodiadaily.com/elections/ethnic-vietnamese-cambodians-prevented-from-voting-in-kandal-37225/