子連れカンボジア-タイ陸路旅

プノンペンに住む、日本人父(私)、カンボジア人妻、息子2人(7歳・5歳)の4人家族が、バンコクへ往復陸路旅行をしてきましたので概要を報告します。
息子のビザトリップを兼ねていましたので、カンボジア人と非カンボジア人の夫婦には参考になる内容を含んでいるのではないかと思います。

旅行の目的

直接の動機は、二男(5)がカンボジアで出生して以来いちどもカンボジアを出国したことがないまま、日本のパスポートの有効期限5年が切れようとしていたので、出生まもなくの時点で日本へ帰すつもりで日本大使館から取得した、出国ビザ作成のための日本の領事から国家警察長官へ宛てた手紙を、その期限切れの前に使ってしまっておかないと、新しいパスポートになってからでは話がややこしくなるのではないかと恐れたからです。
そして東京よりも未来的な都会であるバンコクに子供たちを今ふれさせておくことの教育的効果も期待できるということでした。

陸路の理由

陸路にした理由は単純で、空路ですと妻や子供が突然熱出しても予約は絶対なので乗らねばならないからです。熱出さないまでも、妻が突然機嫌悪くなったりもします(笑)。あるいは私の仕事の都合もありえます。陸路ならば思い立った瞬間に出発できるというメリットがあります。
それと今回、選挙後のゴタゴタのせいか、二男の出国ビザができるのに1週間かかるとのことでした。長男のときは1日でできたように記憶しています。カンボジアで言う「1週間」は、7日間という意味ではなく、不特定将来というほどの意味合いですので、出発日がまったく確定できない状況でした。
出国ビザができた翌日朝に出発しました。
もう一つ、陸路は空路よりも安くつくことが挙げられます。
また、陸路ですと子供たちにカンボジアとタイの田舎を見せることができるという教育的効果が期待できるということでした。
カンボジアの田舎は、妻の実家へ何度か里帰りしたときにも子供たちは見ていますが、陸路国境検問所の街の雰囲気は、田舎というのとはまた違う独特の殺伐とした活気があります。
それと、妻には内緒ですが、出国ビザが果たして陸路国境検問所で理解されるのか、また、Kビザが果たして陸路国境検問所で取れるのかどうかという冒険心もありました。
なお、いくつかある陸路国境検問所のうち、素直に、プノンペン-バンコク間のメジャーなルートのなかでルートが最も短いポイペト(日本人のあいだでの通称。正確な発音はパオイパエト)を選択しました。

出国ビザ取得まで5年以上「ノービザ滞在」していることへの懸念

カンボジアで出生して3ヶ月後には日本のパスポートを取得して出国ビザを取得してカンボジアを一度出国した長男(7)と異なり、二男(5)はカンボジアで出生して3ヶ月後に日本のパスポートを取得はしましたが、出国ビザ取得のための大使館からのレターをその時取得した時点で、日本行きを取りやめ、それから5年近く、カンボジアから一歩も出たことがないままでした。すなわち日本のパスポートの観点で見れば、出生以来3ヶ月は「ノーパスポート滞在」、その後5年近くは「ノービザ滞在」となっているわけで、そんなヤツでもすんなり出国ビザが取れて、それでもって出国ができるのかどうか、という疑問がありました。
しかも、このレターはオリジナルではなく、宛名となっていたホック=ロンディー閣下が爆死されてしまったので、大使館に行って「宛名の人がいなくなってしまいましたので、どうしましょう…」と窓口で言ったら、「ネート=サヴアン閣下」宛のレターにさっと取り替えてくれた、二代目のレターとなっています。
さらにややこしいことに、それからも3年ぐらい経過しており、今度は差出人の領事がすでに交替してしまっています。大丈夫かなあ…という心配がありましたが、この点はとくに問われることなく、出国ビザができてきました。

パスポート残余期間に関する懸念

出国ビザ取得時点で、二男のパスポートは、有効期限切れまで1ヶ月を切っていましたので、入国管理局の係官から
「パスポート有効期限が短すぎてタイ側で入国できないだろうという理由で、カンボジア側の出国審査場で出国を拒否される恐れがある。出国が許可されるかどうかははっきり責任を持てない」
と言われました。
しかしこの件については、ビザを取得する場合の規定であって、日本のパスポートによってタイに観光目的のノービザ入国(陸路の場合、通常、滞在期間15日が許可される)をする場合、パスポートの有効期限については不問であることを、バンコク日本大使館が当局のウェブサイトおよび直接電話で確認した旨、同大使館ウェブサイトに記載されていますので、大丈夫と判断しました。妻には「日本のパスポートにまつわるエトセトラについては俺はカンボジアの入管係官よりも経験上詳しいんだ」と胸を張っておきました。
万が一ダメだったらそれはそれでネタとして面白いと思いました。
むしろ心配だったのは、カンボジアへ帰ってくるときの話で、なぜならカンボジア側にもパスポート有効期限の規定があり(たしか4ヵ月)、これについては、カンボジアに日本のパスポートで入国する場合にはビザを取得しないという選択肢はそもそもないことから、これによってカンボジアへ二男だけ入国拒否されるおそれがありました。というか規定から言えば必ず拒否されます。
しかしそこはカンボジアなので、お金で解決できないはずはないし、万が一ダメだったら、それはそれでネタとして(略)。

パスポート更新によるKビザの有効性

長男については、カンボジアで出生し、しばらくあとに日本のパスポートと出国ビザを取得して日本へ行き、日本でしばらく住んでいました。カンボジアへ戻ったときにKビザを取得しました。しかしすでに7歳ですので、5歳のときに新しい日本のパスポートに更新が済んでおり、それ以来カンボジアから出たことがないので、新しいパスポートにはKビザは貼られていません。もちろん古いパスポートも持参していって「Kビザ昔取ってますよ」と見せたい所存でしたが、その場合もKビザをまた取り直しになるのか、というのがもう一つの疑問点でした。
これはまあ、そういわれたら取ればいいことなので、たいした問題ではなかったですが。
なお、KビザはGRATISですが、入国時1500Bだと妻が入管で聞いてきました(笑)。

パスポートとビザに関する答え

以上の疑問点の結果だけ先に書いてしまうと…。
長男(7)のKビザは、ポイペトでカンボジアに入国する際に、新たに申請して取り直しでした。新しいパスポートにKビザが貼られました。
二男(5)の出国ビザは、ポイペトの出国審査場でも正しく認識され、チェックされました。カンボジア出国とタイ入国は、パスポート有効期限が残り1ヶ月を切っていても、誰からも何も言われず成功しましたので、私の確信が正しいことが証明されました。カンボジア入国は、パスポート有効期限が残り1ヶ月を切っており、規定に違反しているにもかかわらず、その点について誰からも何も言われず入国できました(笑)。Kビザもすんなりポイペトで申請・取得できました。
なお、Kビザは妻が3000B出したら「プラムローイティエトマオク!(笑)」と言われ、2人で3500Bとなりました。
それと、申請には顔写真が本当は必要だったみたいです。持っていってなかったので、パスポートをコピーしてくれました。そんな細かいことは誰も気にしないのがカンボジアですが、今ググったらそこらへんですでにカリカリしてる方がいましたので、念のため付記しておきます。プノンペン空港だと顔写真なしの場合の相場は1ドルとか2ドルなので、それが500B追加のまるまる根拠ではないと思いますが…。

旅程と価格

旅行記として最も重要な旅程と価格を示します。

往路
  • 08:08、元社員のお父さん(タイ系)が運転するカムリをチャーターしてプノンペンの家を出発。150$(妻が「払いすぎちゃった…」と涙目になっていましたので「次から値切ればいいんだよ! 555」となぐさめておきました)。
  • 11:07途中で食事、11:42発。
  • 15:37ポイペト着。
  • ポイペトで妻の大叔母の息子が経営するホテル(詳細は秘す←ポイペトってことでこれで察してください)に彼がいたので雑談。※彼はポイペトに住んでいるわけではなく、プノンペンの豪邸に住んでいる。彼は何やらタイにしょっちゅう出はいりしており、この時もたまたまタイから戻ってきたところだったようだ。
  • おかげで、入管係官がやけに世話をやいてくれる。16:13カンボジア出国。16:53タイ入国の列に並ぶ。
  • おかげで、ローンクルアのバン乗り場まで案内人が付く。ただし、便利なモーチット着ではなく、バーンナー行きとのこと。300B×4人=1200B。17:33発。
  • バーンナーの駅前なにもなさすぎ真っ暗すぎ。荷物デカくなければ素直にBTS乗ればいいんですが…。タクシーには乗車拒否され、2台目で「車線が反対だから」が拒否の理由とわかり、反対車線へえっちらおっちら渡り、タクシー捕まえ、22:20スクムウィットのホテル着。170B(含ターン ドゥアン45B)。
復路
  • 09:05ホテルをタクシーで発。09:34モーチットマイ着。180B(含ターン ドゥアン45B)。
  • バスでローンクルア。30番窓口でチケット購入。大人2人子供2人かと聞かれたのでそうだと答えた。4人で870Bとなった。値段の内訳はわからない。10:00発のは、Route 920という近道。もう一つRoute 60という遠回りがあるようだ。資料をもらった。
  • 15:48ローンクルア着。
  • タイを出国してすぐのところにあるカンボジアのイミグレでKビザ取得。
  • 17:22カンボジア入国。このときも入管係官がやけに世話をやいてくれ、順番抜かしされたベトナムオババに背後から「ケイワー」と吐き捨てられる。カジノある所どこにでもいるなベトナムオババ。
  • ポイペトの上述のホテル泊(いちおう親類のよしみで)。
  • 翌日08:17、LPG自動車のレクサスをチャーターしてポイペト発、プノンペン。2500B。
  • 15時すぎ家着。

ドルからバーツへの両替

今回3回両替を行いましたので、レートを示します:

  1. ポイペトの市場向かいに並んでる両替屋:Googleで300$が9382Bのところ、9375Bになった(金種問わず)。@31.25の計算。
  2. セントラルワールドプラザ4階のThanachart Bank:100$札ばかり500$が@30.89で15445Bになった。
  3. SILOM64のSUPER RICH:100$札ばかり500$が@31.05で15525Bになった。

セントラルワールドプラザでは、道はさんで向かいのSUPER RICH本店の小道がどれだったかうろ覚えだったので、家族連れであのへん探しまわるのもかったるかったので、つい涼しい銀行フロアーで替えてしまった結果、最悪のレートとなりました。そして後から、駅にもSUPER RICHの小さな支店があることに気づきました…。
SILOM64では、SUPER RICHの小さな支店で替えましたが、ポイペトよりは悪いレートになりました。
妻から、バーツへの両替はポイペトが一番だと言われていましたが、あまり信じなかったのでポイペトでは最小限の両替に留めましたが、妻が正しかったです。
カンボジアは円ドル両替レートだけでなく、ドルバーツ両替レートも世界ナンバーワンのようです。…いや、SUPER RICH本店との比較ができてないのでまだそう言い切るのは早計ですが。

家族旅行として

バンコクのこれでもかという大都会ぶりを見せ付けることに主眼を置きました。
生まれて初めての電車! まっくらな中を走る地下鉄! (長男は巣鴨時代にさんざん乗せてますが、2歳からはずっとカンボジアですので、覚えてないと思われ、主観的には初めてでしょう)
たくさんの高いビル!
あふれる物。良質のサービス。カンボジアにはない、他人どうしの何げない思いやり。
道を歩いていれば、カンボジアでは最近は隠されている激しい容姿の障碍者などの物乞いも否応なしに眼に入ってきますので、その点でも教育的効果はあったように思います。
長年資本主義国をやっているタイは、良くも悪くもすべてがあからさまです。その分あっけらかんともしています。カンボジア社会主義国を経てしまったので、やはりベトナム同様、隠微な社会になっていることを、バンコクへ来ると比較で感じさせられます。子供心にはそのへんどう映ったでしょうか。
サイアムパラゴンへ行ってみたら、サイアム オーシャン ワールドという、水族館を超えた水族館がありましたので、5D映画なども含めた大人2人子供2人セット3500Bをフンパツして入ってみたところ、子供も妻も俺も大はしゃぎで大成功でした。
本屋へ行って本を自分で選ばせて買ったり、おもちゃ屋でおもちゃを選ばせて買ったりしました。私がひとりでバンコクへ来たときも、子供のための本を私が選んで買って帰っていましたが、やはり自分で選ばせてやりたいという思いはずっとありましたので。
まあバンコクの都会っぷりは別に個々にあらためて書く必要もないと思いますので、それらを存分に堪能したとだけ書いておきます。
特に、家族旅行をして初めて私にも見えてきた世界というものがあり、それはバンコクの人々の洗練されたサービスを強く実感させてくれました。
帰りにポイペトで、ホリデーカジノ内の日本食屋Matsubayashiに入りました。ここはカンボジアで最も寿司が美味しい店としての地位を私の中で長年キープしてきた店です。今もその味はまったく衰えていませんでした。カジノへ子供を連れて入ることの是非を問う声もありましょうが、このキンキラキンの世界へカネと魂を吸い取られる最底辺の学力の人々を反面教師として見せておくのも社会勉強だと思います。

写真

例によって家族の写真はセキュリティ上の理由からネットには上げないのが私の方針ですが、その他文物の写真はfbに上げてありますので、よろしければごらんください。
はてなはてなフォトライフとかいうのつかって写真上げるのめんどくさすぎ。

追記「真似はしないでください」

ポイペトは犯罪者の跋扈する街です。物流拠点でもあるので大型トラックなども通ります。
ポイペトへ子供連れて行くなどというのは無謀な行為であり、何度もポイペト通過経験のある私と、カンボジア人である妻だからこそ、できたことですので、同様の条件を満たさない方は決して、真似をしないようお願いいたします。
私も正直、ちょっと目離すとすぐ子供がどっか行っちゃうので、ポイペトではかなり神経使って困憊しましたので…。